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■伽藍配置の変遷

以前から気になっていた「伽藍配置の変遷」、法隆寺散策(2015.07.04)を機に整理してみることにした(以下、私見)。

伽藍とは、寺院の主要建物の総称(本堂や塔など)。
役割は以下のとおり。
・金堂:本尊を安置するところ
・講堂:修行や各種の行事を行うところ
・仏塔:仏舎利(釈迦の遺体・遺骨、またはその代替物)を安置するところ
・南大門:寺院や都城に入るための南側の正門
・中門:南大門の後方にあり、回廊内に入るための門
・回廊:重要な建物や中庭などを取り囲むように造られた廊下

538年の仏教伝来後、五十年あまりを経て、本格的な仏教寺院が建てられることになる。
建立と伽藍配置の変遷は下図のとおり、おおむね「飛鳥寺→四天王寺→法隆寺→薬師寺→東大寺→大安寺」の順である。

伽藍配置で注目すべきは仏塔(五重塔など)の位置である。
飛鳥寺、四天王寺では中門を入ってすぐ、真っ正面に仏舎利が納められた塔が配置されている。
これは釈迦(の遺体・遺骨)を拝むことが最も重要なことを思われていたからであろう。
飛鳥寺では仏像が安置された金堂がそれを取り囲む。
四天王寺では背後からこれを護る。
これが原点のように思われる。

それから約十年後の法隆寺では、塔と金堂が横並びとなる。
金堂およびそこに納められた仏像の重要性が増したのだろう。

7世紀末、平城京遷都(710年)が近づくころには、金堂の重要性はさらに増す。
中門入って真っ正面にお堂が建つ。
薬師寺、川原寺では、回廊内に塔は置かれるが、横に配置される。
興福寺では、もうすでに回廊の外になる。

平城京の主要寺院である東大寺、元興寺では完全に回廊の外になってしまう。
南大門を入ると正面には中門、金堂が配置される。
さらに、大安寺では南大門より外に置かれる。

当初は、釈迦あるいはその遺骨を拝むことが最も大事なこととされていたが、時を経て、本尊の前で経を読む、僧の説法を聞く、修行をする、行事を行うことの方が重要であると変わっていったのではないだろうか。
それに伴って自然に伽藍の配置も変化したということだろう。

以下、奈良・大阪の主な寺院、創建・移転の順。

 

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